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周囲の人と常に温かい関係を築けていれば、自然と笑う回数も増えます。今回は、幸福感に関するデータから、これからの時代の人間関係について読み解いてみたいと思います。
※周りの人との温かい交流が笑いを増やす理由については、こちらの記事も合わせてご覧ください。
主観的幸福感とは?

突然ですが、
「あなたにとって幸せな人生とはどのような人生ですか?」
と聞かれたら、何と答えるでしょうか。答えは人によって違いますし、絶対的な正解は存在しません。
「幸せになるために○○をするべきだ」
「○○をしていない(持っていない)なんで、きっとあなたは不幸ですね」
などと言われようものなら、ほとんどの人は「余計なお世話だ!」と思うのではないでしょうか。
ただ、絶対的な正解はないから自分で考えましょうと言ってしまうと、この記事は何の中身もないまま終了になってしまいます。
最近ではデータ分析の手法が発達してきたこともあり、多くの人がどんな時に幸せを実感しているかデータから読み解く研究が盛んに行われています。経済学や心理学で特に盛んです。
経済学や心理学で行われている幸せ・幸福に関する研究では、
主観的幸福感
という指標がよく用いられます(※)。
一見難しそうな言葉ですが、文字通り「自分は幸せ・幸福をどのくらい実感しているか」をアンケートなどを通じて尋ね、他のデータとの関連性を調べていくことで、「どのような条件の下で幸せ・幸福を実感する傾向が高いか」について読み解いていく研究が行われています。
(※) 他にも主観的ウェルビーイング(Subjective Well-Being)、生活満足度などの類似の概念があり、本来ならば厳密に区別する必要がありますが、この記事では主観的幸福感という用語で統一します。
ここから先は、国立長寿医療研究センターが公表した日本の高齢者の主観的幸福感に関するデータを2つ紹介しながら、令和の時代の人間関係についてヒントを得たいと思います。
データでわかるのはあくまで傾向であり、「幸せになるために絶対こうするべきである」と主張するものではありませんし、ましてやデータの傾向から外れている人が不幸だと断罪するものでもありません。あくまでひとつのヒントとして読んでいただければと思います。
役割意識と幸福感

上のグラフは、家庭内での役割意識と主観的幸福感の関係をグラフにしたものです。このグラフを見ると、
・家庭内でまとめ役や相談相手になるなど、何らかの役割を持っている人は幸福感が高い傾向にある
ということがわかります。一方で、
・役割がないと答えた人は、幸福感が低い傾向にある
ことも見えてきます。
周囲の人から尊重され、大切に思われているという実感が幸福感のキーワードである
と言えそうです。
人と人とのつながりが健康のためにも大事であると盛んに言われるようになりました。私も講演会を通じてつながりの大切さを強調してきましたが、お客様から、
「友達の数や交流の頻度などの表面的な人間関係を見るだけでは本質はわからないのでは?」
というご指摘もいただきました。確かに、ひとり暮らしで普段はほとんど人と会わない人でも幸せで豊かな生活を実感している人はたくさんいます。おそらく、交流の頻度よりも、疎外感や孤独感がなく、自分が家族や地域社会から受容されていると感じることの方が大切なのだと私は考えます。
ひとつ注意したいのは、病気や障がいを持つ家族の世話・介護をしている人の幸福感が低い傾向にあることです。多くの家庭で過度の負担になっている可能性があり、地域社会でのサポートが大切であることを強く示唆するデータです。
夫が居なくても女性は幸せ!?
国立長寿医療研究センターは、主観的幸福感についてもう1つ興味深いデータも公表しています。上のグラフは、60歳から89歳の人を対象に、配偶者の有無と主観的幸福感の関係を男女別にまとめたものです。
・男性の場合、配偶者のいない人は幸福感が低い傾向にある
ことがわかります。一方で、
・女性は、配偶者がいてもいなくてもあまり差がない
という結果になっています(!?)。世の中の多くの男性が直視したくないデータなのではないでしょうか。。。
男女で差が出る要因として考えられるのは、やはり周囲の人との関係性です。女性は配偶者がいなくても家族や地域の人と仲良く交流する人が多いのに対し、男性の多くは定年退職を迎える前まで地域での交流がほとんどない人が非常に多いです。配偶者以外の家族や周囲の人との関係性も大事なのだとわかります。
周囲とのフラットな関係作りを
最近では定年退職後も地域活動やボランティア、生きがい活動で活躍する高齢者も増えました。世代を問わず多くの人から信頼され、目覚ましい活躍をする人もたくさんいらっしゃいます。
その一方で、周囲の人とうまくなじめず疎まれる人も少なくありません。私が見てきた限りだと、そのような人は、自分の能力や意見が他の人より優位であることを示そうとするあまり、主張を曲げることができず調和を乱している人が多いように感じます。特に若い人からはマウンティングだと言われてしまいます。
会社や組織では役職や上下関係が大きな影響を及ぼすこともあります。しかしながら、上下関係などを地域や家庭に持ち込むのは得策ではありません。
互いの意見を尊重し、フラットな関係を作る
ことが、より多くの人の幸せの実感へとつながるキーワードであると言えるでしょう。
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