「笑う門には福来る」ということわざがあるように、笑いには様々なよい効果があります。笑いと健康に関する学問的な研究も行われており、特に2010年代に入ってから急速に研究が進んできました。
この記事では、笑いの持つ3つの効果について解説します。
笑いの持つ3つの効果

日常生活の中で笑いを増やすと、どのような効果があるのでしょうか?笑いには、大きく分けて以下の3つの効果があります。
1.体の調子を整える効果(身体面)
2.物事の見方を変えるのを助ける効果(精神面)
3.人間関係を良くする効果(社会面)
笑いによって免疫が活性化する、βエンドルフィンが放出されることによって痛みが一時的に軽減するなど、笑いには体の調子を整える効果があります。最新の研究結果については、別の記事で詳しく取り上げる予定です。
笑いの身体への効果も重要ですが、私は精神面での効果がより重要であると考えています。人生では大きなストレスを伴う困難に直面することがあります。笑いは、ストレスを乗り越えるための助けになってくれることもあります。喜劇王チャップリンは、こんな言葉を残しています。
「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇である」
大きな困難にぶち当たっている最中には悲劇としか思えないような出来事も、あえていったん距離を置いて笑いのある時間を過ごしてみると、冷静さを取り戻し、置かれた状況を客観的に見つめなおすことができる場合もあります。また、ユーモアやウィットで人を笑わせることが得意な人は、他人とは異なる視点でものごとを見ることが習慣となっています。仮に大きな困難に直面しても、日頃から様々な視点でものごとを見ることができれば、思わぬ突破口を見出せる場合もあります。
とは言え、悲しいとき、辛いときに無理に笑い続けようと頑張るのは逆効果です。不安や悲しみ、怒りといった一見ネガティブな感情も、人間が生を営むうえでは欠かせない感情です。悲しさや辛さを無理に我慢せず、そのうえで、笑いも増えるように少しだけ楽しい時間を増やしてみることが大切です。
笑いによって人間関係がよくなるのはあまり多くの説明はいらないと思います。人を蔑むのではなく、共感をベースにした笑いで、周りの人みんなが笑顔になれればよいですね。
新喜劇でNK活性に良い変化が起きた

笑いが免疫を活性化することは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。実は、笑いの本場大阪のなんばグランド花月で1991年に行われた実験により明らかになったことです。
がんや心疾患の患者を含む男女19名が、なんばグランド花月にて行われた新喜劇や漫才を鑑賞しました。新喜劇には池乃めだかさんも出演していました。鑑賞の前後に血液を採取して笑いの効果を検証しました。
検証の結果、
数値の測定ができなかった1名を除く18名中14名のNK活性の数値が上昇したことが明らかになりました。
NK活性とは、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞の活性度を示す数値です。免疫力の指標としてよく用いられています。笑うことが免疫を活性化するデータが出た実験として、大きな話題になりました。
笑いが大事とは言っても、毎日新喜劇を見るために劇場まで足を運ぶわけにはいきませんよね。日常の中で笑いを増やすために簡単に実践できる方法もあります。下の記事で詳しく解説しましたので、合わせてご覧ください。
※このパートは、伊丹仁朗他(1994年)「笑いと免疫能」『心身医学』第34巻 第7号 をもとに執筆しました。
※笑いには様々な効果がありますが、笑ってさえいれば疾病が治癒するわけではありません。他の健康習慣にも気をつけ、心配なことがあれば医療機関で早めに対処することを忘れないでくださいね。
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大道芸人たっきゅうさんは、「笑いと健康」をメインテーマとして、様々なテーマの講演や執筆を承っております。お気軽にお問い合わせください。
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