「フリーランス・リモートワーカーのためのストレスケア」シリーズでは、個人で仕事をする機会の多いフリーランスやリモートワーカーの皆さんと、仕事のストレスを軽くするための情報をシェアしています。
今回は、仕事のやり方を自由に決める裁量が大きくなるこれからの時代に役立つ「ジョブクラフティング」という考え方を取り上げます。
成果が見えないと、やりがいも持ちにくい…
フリーランスやリモートワーカーに限ったことではありませんが、現代社会の仕事は複雑化しています。その結果、かつてに比べ
- 仕事の成果がすぐに出ない
- 自分のやっていることが、お客様や組織へ貢献しているか見えづらい
状態に陥りやすくなりました。もちろん仕事ですから、根気よく取り組むことが必要なこともありますが、ずっとこのような状態が続くと
何となく仕事をやらされている感覚に陥り、やりがいを持ちにくくなる
ことが心配です。リモートワークの推進により、今後一人で仕事をする時間も増えていきます。同僚に相談できず、孤独感・疎外感につながる恐れもあります。
仕事の時間は、人生の多くを占めます。せっかく仕事をするなら、やりがいをもって充実した時間に変えたいですよね。
ジョブクラフティングでやりがいが高まる

仕事へのやりがいやモチベーションを高める方法として、最近注目されている言葉があります。
その言葉は
ジョブクラフティング
です。ざっくりと説明すると、
仕事へのやりがいやモチベーションを高めるために、仕事に対するものの見方・やり方・仕事をする人間関係を変えてみる
のがジョブクラフティングです。退屈でやりがいの持てない仕事の捉え方、やり方を変え、周囲の人間関係をよくすることで、仕事そのものへ楽しみを見出してこうという考え方です。
特に仕事に対するものの見方を変えてみると、モチベーションに大きな変化があるようです。とはいえ、ここまでの文章ではイメージがわきにくいと思いますので、以下、ディズニーランドの具体例を紹介します。
ディズニーランドの掃除係が人気職種になった理由

ディズニーランドのスタッフの職種の中に「カストーディアル」という職種があります。主にパーク内の清掃を担当する仕事です。
カストーディアルは、ディズニーランド開園当初は人気のない職種だったそうです。しかしながら、研修を通じて
パーク内を清潔に保つことがおもてなしにつながること(仕事に対するものの見方の変化)
を繰り返し強調した結果、スタッフのモチベーションが向上し始めます。スタッフの中には
落ち葉を集めてミッキーのイラストを描くなど、独自の創意工夫をする人も出てきました。(やり方の変化)
ミッキーのイラストを描く様子が来園者の間でも評判となり、今ではカストーディアルはスタッフの間でも人気の高い職種になったのだそうです。
まさに、ジョブクラフティングそのものですね。
※このパートは、福島文二郎著『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』KADOKAWA/中経出版 を参考に執筆しました。(※アマゾンのリンクはこちら)
やりがい搾取には気をつけて…
仕事へのものの見方を変えることで実際にやりがいが出ることもたくさんありますが、一方で、何がなんでもポジティブに捉えなければだめだと無理を重ねると、かえってストレスが悪化してしまう恐れがあります。
上司や取引先がやりがいを根拠にあまりに理不尽な要求をしてくる場合には、距離を置いたり、第三者に相談する勇気も大事だと思います。
それが簡単にできれば仕事のストレスで悩む人はもっと少ないはずのですが、「やりがい搾取」かも、と思った時には相談したり距離を置いたりすることは恥ずかしいことではありません。特に心身の不調の兆候が見えたら、休息や医療機関への受診・相談も忘れないでほしいなと私は思います。
多くの人が個人で仕事をする時代は、仕事への取り組み方を自分で決める自由が大きくなる時代でもあります。ジョブクラフティングの考え方もぜひ参考にしてみてください。